本当の優しさ①

まていに

世の中にはついてよいウソがあります。

相手に気をつかわせないためのウソです。

 

M君は、とても寡黙で温厚な学生です。

ある日の昼休み

私は、昼食を早めに済ませて午後の教室に向かいました。

その教室は、授業での「密」を避けるために使わせていただいている大きな教室で、普段は使っていません。

早めに行ったのは、机をアルコールで拭くためです。

教室に入ると、既にM君が1人教室に入っていてスマホを見ていました。

私が机を拭き始めると、「先生、やりましょうか?」と言って手伝いを申し出てくれました。

「お願いできる?」

「ええ、スマホ見てるだけですから」と、少し照れながら、奇麗に机を拭いてくれました。

 

1週間後の同じクラスの授業。

やはり早めに教室に行くと

M君が、一人で教室にいて勉強中でした。

私が荷物を置いて、顔を上げると、

M君が、アルコールと台ふきを手にして、「先生、机拭きます」と。

「勉強中じゃないの?」(私)

「いや、暇なんで・・・」(M君)

またまた、奇麗に机を拭いてくれました。

授業開始5分前くらいになり、クラスメイトが教室に入ってきて、机を拭くM君に気付き、

申し訳なさそうに、「あっ、すいません。ありがとうございます。」とM君に声をかけていました。

すると、M君はニコニコとしながら小声で

「先生と二人でいてもさあ・・・・・・だから」

・・・良く聞こえませんでしたが、明らかに仲間に気を使わせない言葉でした。

 

周囲に気をつかわせない優しさから出るウソってありますね。

お皿に残ったお料理を相手に譲るとき、「もうお腹いっぱい」とか。

全然、方向が違うのに、「車で送っていくよ。そっちへ行くついでだから」とか。

 

仲間に「机を拭いたぞ」アピールもしないし、

私に「机を拭きます」アピールもしない、

黙々と机を拭く。

本当に優しい学生です。