そば畑でつかまえて

まていに

秋風がそよそよと肌をなでる夕方、松本市の実家の近所を散歩しました。

小学3・4年生くらいの男の子4人が、そば畑の土手で、人差指をたてた腕を真っ直ぐ天に向けて座っていました。

少年たちは、とても気持ちよさそうに風を受けて並んで座っていて、なんて可愛いのだろうと、私の顔もほころんでしまいました。

指にトンボがとまるのを待ってるのかな?

話しかけたくなったけど、知らない人が声を掛ければビクッとさせちゃうかなと思い、通り過ぎようと思ったその時・・・

「こんにちは!」

心配はいりませんでした。

少年たちの方からをかけてくれました。

何て、元気な声なんでしょう!

「こんにちは!トンボ?」

「うん」

「とまるかな?」

「とまるよっ! さようなら!」

「さようなら!」

短い会話でしたが、とても幸せな時間でした。

 

そばの花の匂い、風を感じて土手に座っていた時の流れ

少年たちは、その時にしか感じられないものを全身で感じているようでした。

五感で感じたこの感覚は、忘れないはず。

大切にしてほしい・・・

松本は、そばの花盛りです。

かつては水田が広がっていた所も、減反で、一面そば畑になっています。

白いそばの花を楽しみながら歩いて、帰り道、そば畑の中を元気に走っている、あの4人の少年たちの姿がありました。

白いそばの花の中を走り回る少年たちの姿は、映画を観ているように美しかった。