「心はどこへ消えた?」

こんな軽快に書かれた心理士さんの本は初めて!

「心はどこへ消えた?」(東畑開人著)

著者の東畑さんは臨床心理士

自分を包み隠さず偉ぶらず、ユーモアたっぷりに書く勇気。

思わず声を出して笑ってしまう箇所もありました。

一方、感動でウルウルするところが混在していて、素晴らしいエッセーです。

特に「トイレ侍とウンコ男」は、じわーんと感動し、共感し、笑い、涙して読みました。

何度も読み返しました。

  

著者が「聴く」プロだけに、とても深い学びがありました。

忙しいとき、心は亡くなるのではなく、見失われるだけなのだと思う。私が反射神経だけで生きているときも、心は私の奥深いところで、ひそかに息をし続けている。冷凍庫の奥で存在を忘れられたドライアイスみたいだ。

(中略)

 だから、必要なのはドライアイスを水にひたすことだ。ときどきでいい。すると、ぶくぶくと小さなあぶくが立つはずだ。このとき、水が他者で、あぶくが言葉だ。心の中で凝固している言葉は、他者と交わることで初めて、形になる。(続く)

心はどこへ消えた(文藝春秋)

 

私は今、企業の1on1をサポートするYeLL(エール)のサポーターとして、企業の方のお話しをお聴きする機会をいただいています。

話が予期せぬ方向へ進むこともあります。

他者との交わりで、あぶくがぶくぶくと出てくる感覚という表現がピッタリです。

「聴く」ということがいかに大切かを再認識させてくれる本です。

 

また、「世間知」についても書かれています。

まさに、社会に飛びだしたばかりの新社会人たちは、これから「世間知」を身につけていく。

上田情報ビジネス専門学校(ウエジョビ)は、社会に出る直前の居場所で、「世間知」を勉強していきます。

「この世間知の獲得こそ、中年になることの最大の報酬だと思う。」(心はどこへ消えたより抜粋)

中年、いいぞ!