カルガモ騒動記

まていに

夕方6時、夫と片側2車線、4車線の道路を車走っていました。

帰宅時間で、車が激しく走る道です。

信号で左車線の先頭に停まり、青に変わって発進して間もなく

前方に茶色の物体が・・・

「お茶が入ったペットボトル?」「木の葉?」

スピードをゆるめて前進したところ、

なんと!

カルガモのひなたちではありませんか!

右車線に車がいないことを確かめて、カルガモを避けて前進。

後続の車も、私たちの車の異様な動きに警戒してくれてカルガモを避けてくれた。

助手席にいた私は、窓を開けて身を乗り出してカルガモの様子を見ると、車道から歩道の方へヨチヨチ歩いていきました。

家に着いたものの、カルガモが車道へ出ると大変、と心配になり、二人で歩いてカルガモがいた場所へ戻ってみました。

「ここら辺だったけど」

と言うものの、車道で車にひかれたヒナがいたらやだなあ、と心配になりながら耳を澄ませると

「ピーピーピー」

ヒナたちの声が聞こえてきました。

どこ?

いた!

道路脇のアパートの駐車場に6羽のヒナたちが身をひそめていました。

よかった、無事だった!

それから、親鳥をさがしましたが、姿が見えません。

親がいたら、そっとその場を立ち去るつもりでした。

でも、私たちが最初に車で通りかかってから、ここにたどり着くまで時間があったのに親鳥の姿が見えません。

このままでは、再び車道に出てしまう。

この交通量だと、車だって急ハンドルや急ブレーキで事故になりかねません。

そこで、警察署に電話して事情をお話しすると、近くの交番から来てくださるとのこと。

そうして見守るうちに、高校生か専門学校生らしき男子学生さん2人が自転車で通りかかり、「かわいい!」と足を止めてくれました。

一緒に車道へ出ないように、ガードしてくれました。

赤ちゃんを自転車に乗せたお母さんも、ヒナに気付き立ち止まります。

「お母さんとはぐれちゃったんだって。」と、赤ちゃんに話しかけて一緒に見守ってくれました。

合わせて6人で、周囲を見渡しますが、カラスはいても親鳥の気配は全くありません。

ヒナたちが車道へ出ようとするのを、学生さんたちは優しくガートして守ってくれました。

ブンブンと帰宅の車が通る道端。

車から見られている恥ずかしさなんて、忘れて無我夢中です。

そこへ、若い女性と男性の警察官2人が駆けつけてくれました。

早速、交通の妨げにならないように、手でヒナたちを保護

「ヒナを入れる箱とかないですか?」と警察官。

とっさに私は、近くのラーメン店の外に、いつも段ボールがあるのを思い出し、お店のご主人に事情を話して段ボール箱をいただいてきました。

私が手にした段ボール箱を見た学生さん

「あっ、いい箱きた!」と。

そして、そっと段ボールにヒナを移し・・・

あとは、警察官にお任せです。

近くに川も池もないのに、どこから来たヒナたちだったのでしょう?

野生のヒナは、保護してはいけないことは承知です。

でも、このままでは、車にひかれてしまうし・・・

2人の警官は、危なくない場所で、ヒナを放してくださるとのこと。

それからのヒナの運命は、自然界で生きる生き物、どうすることもできません。

餌を食べることができるか、カラスに襲われてしまうかも

人間の勝手で手を差し伸べることができない領域があることを受け入れなければなりません。

あとは警察官にお任せして、解散です。

男子学生さん2人は自転車で、お母さんと赤ちゃんも自転車で、警察官はヒナの入った箱を大事に抱えて、それぞれの場所に戻りました。

 

とっても優しい時間を、カルガモのヒナたちが与えてくれました。

みんながお互いに「ありがとうございました。」と言っていました。

そして、みんな笑顔で「さようなら」と言ってお別れしました。

今頃、みんな思い出してるだろうな。

学生さんも、美味しい夕ご飯を食べてるかな?

お母さんは、赤ちゃんに「カルガモさんの赤ちゃんいたね。」と優しくお話ししてるだろうな。

今、改めて考えています。

みんながいてくれて心強かった。

私たち夫婦2人だけだったら、心細かった。

みんなで同じ方向に向かって気持ちを一つひできた。

だから、みんながみんな「ありがとう」と言ってお別れできた。

カルガモを助けたから心が温かくなったんじゃなくて、みんなが一緒だったから心が温かくなったんだ。

通りすがっただけの人たちが、心を一つにできたホカホカは、カルガモのヒナの柔らかい羽のように優しかったです。