「自分では手に負えないつらい気持ち」
この言葉に出会ったのが、「自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント」という本です。
講談社 松本俊彦著(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
思春期の怒り、恐怖、不安、絶望、緊張・・・
「手に負えない気持ち」、しっくりくる表現だと思いました。
この著書の中で、印象に残った言葉があります。
「人生において最も悲惨なのは、ひどい目に遭うことではなくて、一人で苦しむことだ」(P247)
この本は、自傷に悩む本人向けに書かれていて、とても温かく優しさあふれる表現で書かれているのが印象的でした。
メモとして、印象的な部分を以下に挙げておきます。
自傷は孤独な対処策として行われるものであって、アピールとはむしろ正反対である(P23)
「自分をコントロールする」から「周囲をコントロールする」パワーに気付いてしまう(P59)
そのパワーに「耐性」が生じると、再び危機が訪れる。(P61)
自傷を告白された相手の不適切な反応により「自傷が持つ他者に対するパワー」を気づかせてしまう。
→自傷の告白に対する適切な反応としては、少なくとも次の三つの条件を満たす必要がある。(P132)
① 冷静で穏やかな態度で向き合う
② 告白したことをねぎらう
③ 自傷したことを頭ごなしに叱責せず、自傷せざるをえなかった事情に感心を持つ
私自身は、「手に負えない気持ち」で深く悩んだことはなく、寄り添う力不足だと思います。
「”I“massage」という言葉を、この本で初めて知りました。
相手に対して「あなた」という対決的、批判的、指示的なニュアンスを持つ二人称を主語にした文章ではなく、「私」という一人称を主語にした文章で気持ちを伝える。というものです。
これって、私もサポーターとして参加している「聴く」組織YeLL(エール)の聴く力に共通するものだなと感じました。
相手と向かい合うのではなく、一緒に肩を並べて歩いて、同じ景色を見るイメージ。
「寄り添い」「共感」「compassion(コンパッション)」
私が少しでも、できる人に近づけますように。