新型コロナウイルスのニュースが繰り返し放送されているテレビを見ていると、気が滅入ってしまいます。
中村天風(明治9年~昭和43年)が、今起こっている現象と似たようなことについて語っていたことを思い出し、その本をひっくり返して、その箇所を見つけました。
いつ語ったものかは、本からは判りませんでしたが、以下に出てくる「ラジオドクター」「衛生講話」「教育ママ」といった単語から想像するに、昭和30年代から昭和40年代でしょう。
おおむね多くの人々は、知っていなければならないことは知らなくて、知っていて何もならない余計なことは知っている。そのうえ、知っていると、かえって害になることまで、しっかりと覚えている。
たとえば、テレビでみる一部の企業のPRだとか、あるいはラジオの、ラジオドクターの衛生講話だとか、あんなものは聞く必要はないのである。聞いても、何もなりはしないのだ。
「陽気の悪いとき、風邪を引かないようになさい」
「今年の風邪はホンコン風邪で、どんなウイルスか判らないから用心をしなさい」と。
この間もやっていたが、
「まだワクチンが発見出来てない。どの種類に属するウイルスか判らないから、大いに用心なさい。今年の風邪引きは命取りです」
そうすると、それを聞いている教育ママなんかは、もう何か一端わかったような顔をして、「今年はホンコン風邪が流行して、それが命取りだそうですから、用心しましょうね」という。
どう用心するのか。一番肝心なのは、どう用心するかということ。用心する方法をしらないで、「用心しましょう」という。
こんなことは要らないことだ。
運命を拓く 天風瞑想録 講談社文庫
新型コロナウイルスの対策として、「手をよく洗う」など、用心の仕方の報道は大切です。
さて、中村天風は、この書き出しの文章で、一番言いたかったことは、「人間の生命の本来の面目は、創造的に出来ている」ということ。
上記の中村天風の本は、今だからこそ、手元に置いておきたい一冊です。
トイレットペーパーと、なぜか、海藻のアオサまでもが店の陳列棚からなくなっていました。
不要な情報もあるものだと、中村天風を思い出したので、きょうのブログで書きました。