私は、ウエジョビで「伝える」ことを中心とした授業をさせていただいています。
社会に出てから一番大切なことが「伝える」力。
テクニックを学ぶことは、学生にとっても満足感があるでしょうし、教えるのは楽です。
しかし、本当にそれが相手に届く声なのか・・・。
私は、それを追及したくて、「からだ」や「呼吸」について書かれた本などを借りてきては、読んでいます。
この時、参考になっているのは大学時代の教育原理の教授にいただいた手書きの参考資料の一覧です。
それを元に、きょうも図書館で本を借りてきました。
「未来塾って、何? 異文化チャレンジと発音」 中津燎子著(朝日新聞社)
冒頭、「地球市民のしつけ十カ条」があり、おもしろいと思いました。
(一) 「他人の知識、体験と自分のそれとを、きちんとわける」
(二) 「他から得た知識、体験は、常にその出典を明らかにし、話すときは三行以上の長文にしない」
(三) 「見るもの、聞くもの、または聞いたこと、見たことを二行から三行の短文で正確に言う」
(四) 「一回の会話中に、相槌とうなずきは、できるだけ二回くらいにして、要点のみうなずくこと」
(五) 「ふつうの自分の声でしゃべる」
(六) 「近所付き合いと、隣国付き合いは同じようなもの、と理解する」
(七) 「家計認識と実態認識の訓練の必要」
(八) 「道案内の必要」
(九) 「絵本ゲーム」
(十) 「テレビ画面再生ゲーム」
中津さんは、海外での暮らしを経て、相手に届く声の大切さを実感していらっしゃいます。
「十カ条」では、それぞれ詳しく説明が書かれています。ここでは、それについては説明はしませんが・・・・。
とにかく面白くて、先が知りたくて、半日でざっと読み終えてしまいました。
印象に残っている言葉があります。
声は、その人の生きてきた心の歴史そのものを表す
トレーニングを繰り返しても、声が弱々しい人がいたそうです。
幼少期に何らか、心を傷つけられていた場合があり、よく話しを聞いてみると、名前を変えた過去があったそうです。
アイデンティティと声がつながっている。深い問題です。
この本は、33年前の1986年に書かれた本です。
経済活動が、国境を越えて行われるのが当然となった今だからこそ、「地球市民のしつけ十カ条」は、その時代よりも、さらに重要になってくると思います。
「地球市民」
そうね。私もそうですね。