穴掘りクラブ

まていに

しなの鉄道の車窓から見ると、田畑の土がフカフカになってきたなと、感じます。

その光景を見ると、思い出すのは「穴掘りクラブ」のことです。

記者になって、最初にやった長い尺でのリポート企画が、ある小学校の「穴掘りクラブ」でした。

なに、それ?

と、思うでしょう。

私もそうでした。

その小学校を訪ねたのが4月。土がフカフカになってきた頃です。

「穴堀クラブ」なるものがある、というので取材で訪れました。

「ひたすら、小学生が畑に深く穴を掘っていく」

それだけ。本当にそれだけ。

何のためでもなく、ひたすら掘るのみ。

児童たちの熱中ぶりはすごかった!

授業が終わると、手に手に、鍬やスコップを手に、畑に集まってきました。

開始の合図で、数人のグループごとにわかれて、それぞれが畑に穴を掘り始めました。

「俺にやらせろ!」

「いいこと考えた!これで掘ったら簡単だぞ!」

「すごい石見つけた!化石かも」

「ヨイショー!」「頑張れー!」

児童たちは無我夢中で、エネルギーに満ち溢れていました。

地球の裏側まで掘ってみようという勢いでした。

顧問の先生は、ケガがないよう、細心の注意を払っていました。

ルールには厳しかったです。

軍手と帽子がないとクラブ活動に参加できません。

取材の日、帽子を忘れてしまった男子児童がいました。

取材カメラも来ていたので、参加したかったと思います。

しかし、先生は、その児童に、穴を掘らせることはさせませんでした。

傍らで見学していたその児童は悔しくて泣いていました。

私だったら、「まあ、きょうくらいは許してあげよう。次は気を付けよう」などと言ってしまっていたと思います。

しかし、そうやって、崩してしまうと、児童に気のゆるみが出て、ケガにつながってしまいます。

先生は、徹底してルールを守る大切さを教えていました。

すばらしいな、と感心してしまいました。

「穴掘り」の熱中レベルはすごかったです。

ある児童は、家に帰ってからも庭に穴を掘っていたそうです。

夢中になれる自分。

これからの時代、とても大切だと思います。


田舎に住んでいた私は、小学校入学前、男の子のお友達と、家から少し離れた「秘密基地」で、タライにおしっこをためることに夢中になったことがあります。

どのくらいで満杯になるのか、確かめたかったのです。

毎日、遊んでは、お友達とそこでジョーって・・・。

ある日、姉に見つかり、怒られた上に、捨てられてしまいました。

満杯にする夢は叶いませんでした。

今でも、人はどのくらいの量のおしっこをするのか、計測して確かめたい気持ちがあるのでございます。


あっと、こんな話をしてしまい、ごめんなさい。

電車にゆられて、ふかふかの田畑の土を見ていて、こんなことを思い出していました。

子供たちよ!夢中になろう!

興味が持てることをとことんやってみよう。