長野市で音訳ボランティアセミナーが開かれ、参加してきました。
主催は長野県視覚障害者福祉協会。
南は飯田市から北は山ノ内町まで、県内中の音訳ボランティア約110人が集まりました。
平日なのに、すごい集まりで、会場は一杯に。
講師は、安田知博(やすだ ともひろ)先生です。
いただいたプロフィールによりますと、安田先生は先天性の視覚障害で、盲学校在学中、全国高校放送コンテストで3年連続優勝に輝いています。
現在はNHKで副音声のナレーションを担当され、2016年からは、全国音訳指導技術講習会講師としてもご活躍です。

ブログへの写真掲載は、安田先生と主催者にご了解をいただいております。
軽快なトークと、その中に散りばめられたウィットに富んだジョークで笑いもあり、瞬く間に、会場が先生に惹きつけられました。
講習の冒頭、「視覚障がい者とは」、「音訳とは」といったお話しがありました。
先生は「目が不自由な人たち」とは、二つのことが不自由な人だとお話しされました。
一つは、状況把握が不自由。「一目瞭然」がない。時間をかけて分かる、または、努力してもわからないこともある。
二つ目は、情報アクセスが不自由。
例えば、先生は、つい最近、ホテルをネット予約しようと思ったそうですが、「次へ」というクリックボタンの位置がわからず、そこから先に進めなかったそうです。
電話予約よりもネット予約の方が、料金が安いので、人に聞いてネットで予約されたそうです。
次に「音訳」と「朗読」の違いについてのお話しがありました。
耳で聞きやすいものしかやらない「朗読」に対して、「音訳」は、取り扱い説明書やチラシなども対象になります。
そして、「朗読」は朗読者の世界を味わうのに対して、「音訳」は、読書と同じ、聴き手の想像力を邪魔しない、といった説明がありました。
また、合成音声についてもお話しがありました。
性能もアップしてきていて、時には人より明瞭なことも。
それを踏まえて、安田先生はこんなことをおっしゃいました。
「“音訳者の後継者確保が難しい。ちゃんとやりたいけど、合成音声で我慢してもらおう” 世の中が、こうならないことを願っています。」
音訳の利用者は、視覚障がい者だけでなく、手が不自由な人、まぶたを開けられない人、読字障がいの方など、通常の読書が困難な人に範囲が広がっている、といった現状のお話しもありました。
今日の講習会の参加者は、ざっと見た感じで60代から70代の女性がほとんどでした。
高齢化で音訳者の後継者問題がありながらも、音訳のニーズは広がっています。
確かに、私の所属するボランティアグループ「やまびこ会」でも、最近、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の方からのご依頼がありました。
安田先生のお話しは、気づかなかったところを教えていただいたりと、大変、興味深く聴かせていただきました。
続いての講習では、実際の文章を読んでみました。
先生のアドバイスが的確で、わかりやすく、なるほど!と思うことばかりでした。
セミナーは、午後も続きましたが、私は残念ながら、午前中しか参加できませんでした。
それでも、行って良かった!
より良い音訳のために、学び続けたいと思いました。