「どうしたら自分を好きになれますか?」
以前、学生から真剣に質問を受けたことがありました。
私は、まず、「質問をしようと勇気を出して私を訪ねてくれただけでも大丈夫、好きになれるよ。」と手を握ってあげた上で、こうアドバイスしたことを覚えています。
「小さなことでいいから、人が喜ぶことをやってみたらいいよ。例えば、玄関の靴をきれいに並べるとか・・・。しかも、こっそりとね。」
私が最近、手にとった本に、まったく同じことが書かれていて、驚いてしまいました。
私のアドバイスが、ズレていなかったような気がして嬉しくなりました。
最近、ブログに書き続けている岩本光弘さんの「見えないからこそ見えた光」(ユサブル)です。
「自分を褒めて、自分を好きになる」
どうしたら自分を褒められるようになるのでしょうか。
ここで大切なことは、自分を褒めるために特別に良いことをしなければならないという考えを捨てることです。いつも何気なくやっている小さなことに意識をおき、それらについて自分を褒めるのです。
近所の人に「おはようございます」とあいさつができた。電車で席を譲った。エレベーターで人が降りるまで「開」のボタンを押してあげた。どうしているか気になっていた友達にメールを送ってみた。何でも良いのです。
全く、私が伝えたことと同じ内容で驚きました。
では、当時の私は、突然の質問に対して、何を根拠に、このこのアドバイスをしたのか・・・。
思い返してみると、その頃、ヴァイオリンの鈴木メソッドを世界に広めた 故・鈴木鎮一先生の教育書を読んだ影響がありました。
(私は鈴木メソッドの教室でヴァイオリンを習っています)
鈴木先生がヴァイオリンを習いに来る幼児に対して、「お庭のお掃除や、玄関のお靴を揃えてごらん。しかも、自分一人でこっそりとやるんですよ。」と宿題を出していることが書かれていました。
この、「こっそりと」という部分が、「褒められたい」といった我欲を満たすためではない行いを学ぶためには、とてもいい教えだな、と思って感心していたのです。
私は、その頃も今もそうですが、学生たちに自己肯定感を持ってほしいと願っています。
どうしたら、自分を好きになれるか、自分を褒めることができるか。
自己否定が強いままで、いくら「自己表現」と掲げて授業をしたところで、自分を表現したくないのであれば、前には進めません。
きょう、私は、コンビニのレジに同時に行こうとした相手の方に、「お先にどうぞ」と譲りました。
相手の方が笑顔で「ありがとうございます」と言ってくださって、気持ちが軽やかになりました。
小さなこと、私も意識してやっていこう!