上田電鉄別所線の上田駅のホーム。
去年の台風19号で鉄橋が崩落したため、上田駅から一つ先の城下駅までは、代行バスでの運行が続いています。
電車が来ない別所線・上田駅ホームは、今、誰でも自由に入って見学することができます。
規制のロープが張られたホームは私以外誰もいなくて静まり返っていました。
駅の壁に、地元の園児や児童たちから寄せられた応援メッセージが飾られていました。
そこに、「なおすのがんばってください」と、かわいい字で書かれたメッセージが・・・
それを読んで、明るい気持ちになりました。
大人が使う言葉「復旧」には、困難を乗り越えるニュアンスがありますが、「なおすの」と言われると、困難を考えるよりも「橋を架ける目的に向かって進むのみ」と力が湧いてくるような感じです。
「なおすの」を頑張ればいいんだ!
「物事を難しく考えちゃいけないよ」って母校の先生はおっしゃっていたなあ・・・。
「千日回峰行」を二度も満行された天台宗の故・酒井雄哉大阿闍梨は、こんなことをおっしゃっていました。
自分以外はみんな先生なの、お師匠さんなの。赤ちゃんは泣き声でいろんなことを僕に教えてくれる。幼稚園の子どもでも、ぺらぺらしゃべっているのを聞いていると、大人が忘れてしまったようなことをピタッて言い当ててくれることもある。自分たちが忘れたことを見せてくれるんだなと思えばね、子どもも大変なお師匠さんなんですね。(中略)
人の話を耳で聞いて理解して、言うべきことはちゃんと口で伝える。そういうことを実行できる人が「聖(ひじり)」というんだからね。聖とは、「耳で話を聴いて口で指導する王」のこと。漢字の成り立ちがそうなっているでしょう。
自分の「ものさし」で生きなさい(日経BP社)
自分以外は「お師匠さん」。
可愛い応援メッセージを書いた純粋な子どもの「お師匠さん」は、「物事難しく考えちゃいけないよ」って教えてくれていました。
そして、「聖」とは程遠い姿で教壇に立つ自分の姿を省みて、些細なことでもちゃんと聞くことができる人間にならなくては、と酒井雄哉大阿闍梨の言葉を読み返しました。